最近、巷を賑わせているプロテイン。
プロテインとはつまり「たんぱく質」のことだが、今やプロテインを摂っているのはダイエットや筋トレしたい人ばかりではない。
人間のほとんどの部分の材料となるタンパク質は、「もちろん肌や爪、髪にも良い」ということで、美容に関心の高い女性の支持も集めているのだ。
そのおかげか売り上げは右肩上がりだそう。
コラーゲンや酵素=つまりたんぱく質
美容によいとされるコラーゲンや、ダイエットによいとされる酵素は、たんぱく質で構成されている。
それらの健康食品は多く出ているが、実はコラーゲンや酵素を直接経口摂取しても、他のたんぱく質と同じように一旦アミノ酸などに分解されてから体の色々な部分に運ばれていくため、届いてほしい場所に直接届くわけではない。
お肌のために摂ったコラーゲンが骨の材料になることだってあり得るのだ。
コラーゲンについては「分解された一部のペプチドが肌の水分量を増やす」ということが分かってきているので肌からの効果はゼロではないらしいが、
そもそもの材料であるたんぱく質が不足していては、健康的な美容づくりができないのである。
また睡眠中に体のダメージが修復される“最初の深い睡眠時間帯”を「黄金タイム」「お肌のゴールデンタイム」などと呼ぶが、これは成長ホルモンの分泌が最も盛んになるためついた呼称である。
成長ホルモンは美容やアンチエイジングに欠かせないホルモンなわけだが、何を隠そうこの「成長ホルモン」までもが、たんぱく質から作られている。
このことから見ても、たんぱく質がダイエット、健康だけではなく美容とも切っても切れない関係なのは確かである。
プロテインとは
そもそもたんぱく質は食品に含まれる。
肉や魚、乳製品に含まれる動物性たんぱく質、
豆や穀物に含まれる植物性たんぱく質に
大きく分類される。
そのたんぱく質をもっと効率的に摂ることができるのがプロテインだ。
プロテインは食品と同じように動物性、植物性があり、含まれるアミノ酸の量やバランスが異なるため、個々の目的に応じて種類を選ぶことができる。
食品でたんぱく質を多く摂ろうと思うと、余計なカロリーや脂質までも摂ることになるので、たんぱく質“だけ”を補給したい人にプロテインが注目され続けるのは必然といえよう。
【プロテイン】知らないとこわい落とし穴
そんなプロテインだが、やみくもにたくさん摂ればいいというわけではない。
実はたんぱく質の過剰摂取による影響や副作用については、長年議論され続けられているものの未だ安全性は確立されていない。その例をいくつか挙げてみよう。
●腎臓への影響
プロテイン摂取の健康への影響で、特に有名なのが腎臓への負担である。
たんぱく質をたくさん摂りすぎると、腎臓で濾過する量が増え、負担が大きくなるので、たんぱく質はたくさん摂りすぎない方がいい、というものだ。
実はこれについて、最新の研究では「高タンパク質の摂取は腎機能に影響しない」というエビデンスが示されている。
ただ、まだまだ研究の真っ只中らしいので、これが覆ることは十分にあり得る。今後どんなエビデンスが出てくるのか、アンテナを立てておく必要があるだろう。
●中高年の死亡率への影響
「高タンパク食を好む50~65歳は癌で死亡するリスクが上がる」
しかし「65歳以上では高タンパク食の方が死亡率が下がる」
という報告がある。
インスリン様成長因子(IGF-1)と関連付けた研究だ。
動物性たんぱく質と植物性たんぱく質で有意な差はない。IGF-1という長生きに関係のある物質は、単にたんぱく質という栄養素によって影響を受ける可能性があるということだ。
●尿路結石への影響
先程の腎機能の話にもつながるが、動物性たんぱく質の摂り過ぎが尿路結石の発症につながることはよく知られている。“プロテイン”が尿路結石を引き起こすエビデンスは見当たらないが、結石患者が、食事からの動物性たんぱく質の制限をするのは有名な話だ。
発症を機に、動物性プロテインから植物性プロテインに変えたという体験談まであるから、プロテインを対象にした今後の研究を見守った方がいいだろう。
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このように、たんぱく質が健康に及ぼす影響については研究が進められているものの、未だ発展途上であり、年齢や摂取量、基礎疾患によっても大きく結果が異なる。
ただし、これらはいずれもたんぱく質を摂り過ぎた場合のリスクである。
通常のタンパク質量なら逆に「不足する方が危険」なのが、この問題の難しいところなのである。
プロテインの飲み方~どのぐらいの量なら安全なのか?
では、たんぱく質を「たくさん摂りすぎる」とはどのぐらいの事なのか。
健康のためには1日あたり体重1kgあたり1gの摂取が望まれる…むしろ推奨、とされている。
体重50kgなら50g、70kgなら70gだ。
またアスリートや運動習慣のある人は体重1kgあたり1.2~2gの摂取が良いとされている。
例えばコンビニのサラダチキンのたんぱく質量は1個あたり20g程度、卵12g程度、四角い納豆1パック7g程度であるから、なんとなく計算してみるといいだろう。
日本人はむしろタンパク質が不足している
計算してみてどうだろうか。なんとなく足りていない人も多いのではなかろうか?
というのも、実は健康志向の高まりで食事の全体量が減ったため、日本人のたんぱく質の摂取量は戦後と同じぐらいまで低くなっているというデータがあるのだ。
これは豆類や雑穀などの植物性たんぱく質の摂取が昔より減っていることが原因の1つだ。
ただ、昔に比べて摂取量が増加している動物性たんぱく質にもメリットがある。
長寿には肉が好物な人が多いということだ。実際に、動物性たんぱく質の増加が平均寿命を延ばした要因の1つとも考えられている。
これはなぜか。肉に含まれるアミノ酸の構成がヒトと類似しているからだという。
結局のところ、摂りすぎなければ動物性たんぱく質も植物性たんぱく質も必要ということだ。
ただしプロテインでいえば、動物性のものはホエイプロテインやカゼイプロテインなどの乳由来であり、肉のアミノ酸構成と同じなわけではない。
つまり肉(脂肪分の少ないもの)は今まで通り食事で食べつつ、植物性たんぱく質の摂取を増やすのがよさそうだという結論に達するのである。
植物性たんぱく質とは
植物性たんぱく質は豆類や穀物に多く含まれる。
大豆製品もその1つである。納豆や味噌、きな粉などだ。
ただし女性が大豆製品を摂りすぎると女性ホルモンに作用して副作用が出ることがあるという。
また大豆由来のソイプロテインの場合、別なデメリットがある。
それは、ソイプロテインには遺伝子組み換えの大豆が使われることがある点だ。
毎日摂取することを考えると、積み重ねのリスクを考えなければならない。
ソイプロテインを選ぶ時には「遺伝子組み換えでない」となっているか、確認した方がいいだろう。
安心なのがピープロテイン
ソイプロテインに代わる植物性プロテインといえば、エンドウ豆由来のピープロテインだ。
遺伝子組み換えの心配も低く、副作用についても報告がないため、安全性が高いということで近年人気を集めている。
また動物性プロテインに迫る勢いのアミノ酸量を誇っているのも人気の理由だ。
BCAAバランスを見ても、美しい筋肉を維持したい人にピープロテインはうってつけである
プロテインの安心な飲み方は
たんぱく質は体の中に溜まらず、必要な量以外は体外に排出されてしまう。
このため、1日に何度かに分けて飲むのが効率がよいとされる。
また前述のとおり、1日のタンパク質量は
基本は「体重1kgあたり1g」
運動習慣のある人やアスリートは「体重1kgあたり1.2~2g」
がよいとされている。
市販のプロテインは1回のタンパク質量が10gほどのものが多いので、たとえば「朝食は卵、夕食は肉や魚、昼にプロテイン」など、1日のうちで、たんぱく質が均等に数回に分けて摂れるように工夫するのがおすすめだ。
「適量のプロテインを毎日」がベスト
あの加藤綾子アナもピープロテインを飲んでいるそうだ
たんぱく質をたくさん摂った場合の健康リスクの話をしてきたが、たんぱく質が不足しても様々な健康トラブルが生まれる。
例えば、美容の不調、肥満、メンタル面の不調、不眠、免役力低下などである。
美容ケアを色々しても改善されなかったが、プロテインを摂るようになったら不思議と改善された、という話もよくある。たんぱく質は肌や髪や爪を作る材料なのだから、不思議ではない。
また低体重児の増加や、子供の身体能力/体力低下も栄養不足が関係しているといわれている。この飽食時代に栄養不足なんて…と思うかもしれないが、現代人のお腹を満たしたのは脂肪の多い食品や嗜好品であり、良質のたんぱく質や炭水化物、食物繊維は不足していることを私たちは肝に銘じておかねばならない。
かっこいい体づくりに、やはり筋肉は不可欠
更新されゆく情報をしっかり知って、健康や美容維持にはげむことが大切である。
参考:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/attach/1344530.htm
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8993/
https://www.meiji.co.jp/milk-protein/healthy-life/article-1.html